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ポストトレード市場革命の足音

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本稿は、日本の証券市場における決済革命の動向を基軸に、革命に対峙する市場参加者の取り組みと、レガシー&エコシステムマイグレーション、イノベーションとエマージングテクノロジーの可能性を提言します。

JSCC「デリバティブ清算刷新プロジェクト」の取り組み

日本のデリバティブ市場は、市場デリバティブ、有価証券店頭デリバティブともに、飛躍的な拡大を続けてきました。既に、新J-GATE(先物・オプション)の稼動(2016年7月)により約定システム面での市場統合を完了し、引き続き、清算インフラの刷新プロジェクトに取り組んでいます。

  • プロジェクトは、日本証券クリアリング機構(JSCC)の上場派生清算システムを更改し、リスクモニタリングと担保管理機能の拡充を図るもの(2018年2月稼動予定)。
  • JSCC新清算システムは、その後、上場現物清算、国債清算をあわせ、JSCCの全清算業務に共通な基盤として、全体コストの最適化を目指す(2020年完了予定)。

市場参加者の対応状況―セレントサーベイの結果から

市場参加者は、JSCC新清算システム稼動にあわせ、上場デリバティブの清算業務において、制度面、リスク管理面、システム面での対応が必要です。最大手の清算参加者を中心に、既に概ね対応を完了した参加者も多くみられる一方、対応中、未着手のプレーヤーも残っています。また、上記の対応を通じて、ポストトレード市場全体に関わる課題点も顕在化しつつあります。

  • 制度面:口座設計変更、ポジション確定方式変更、証拠金所要額算出・確認手続関連でのインパクトがある。
  • リスク管理面:証拠金ベースでのリスク額算定、高頻度化、下層顧客情報の報告義務、証拠金引上げ制度などでインパクトがある。
  • システム面:システム接続方式自体の変更インパクトは軽微。端末のWeb対応、システム直結方式の標準的な接続仕様は、いずれも清算参加者に好影響をもたらしている。
  • 投資規模は、自営システムで1億円から2億円を見込んでおり、主要なASPシステムも同規模の更改を予定。清算参加者以外の市場参加者は、今後の進展を注視している。
  • 各社の課題点は、①取引ボリュームの拡大とコストの最適化、②市場のボラティリティに対応出来る柔軟なオペレーション体制、③維持管理のためのリソースの確保、の3点である。

市場参加者への提言

取引機会と取引コストの最適化を巡るグローバル競争は、全ての市場参加者に対して、各社固有の制度や慣習の排除と同時に、ボラティリティの変化に合理的なコストで対応できる企業構造を要求しています。このための具体的なアプローチとして、セレントは市場参加者に対し、プロセス、テクノロジー、ソーシングモデルの革新を提案します。この3つの革新は、「ポストトレードサービスにおけるデジタル対応」に他ならないのです。

市場参加者は、デジタルの潮流を活用し、テクノロジー利用と組織体制の最適化を追求すべきでしょう。

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Demi Derem discusses the business challenges faced by the custodian and asset servicing communities.
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